運動は再発予防の決め手になります
狭心症にふたたびならないように、「適度な運動をしてくださいね」
と、医者から言われますよね。
理由は、運動が再発予防の決め手となるからです。
運動をすると、心臓の機能を高めます。
狭心症や心筋梗塞の発作をおこしたあとは、運動をすることに
多少ためらいを覚える人が多いと思います。
確かに、心臓に負担をかければ、また発作がおこるのではないかと
不安な気持ちになるのもよくわかります。
しかし、運動をすると心臓の機能が上がり、再発を予防できることが
いろいろなデータによって明らかになっていて、
治療効果を評価・判定した日本循環器学会のガイドライン
「心筋梗塞2次予防に関するガイドライン2011年改訂版」でも
適度な運動が推奨されているのです。
実際の治療でも、心筋梗塞の治療や、冠動脈バイパス術のあとは
心臓リハビリテーションのプログラムにのっとって、運動負荷試験で
心機能の状態を確認しながら、安全かつ有効なトレーニングをしています。
適度な運度とは何をすればいいのかな?
最初の1歩としては、「しっかり歩く」ことを心がけて、まず歩きましょう。
狭心症と診断され、心臓リハビリは受けなくてよいという人や
心臓リハビリが終了した人も、発作を予防するために、
定期的に体を動かす運動はずっと続けていきます。
心臓に問題を抱えた人でも手軽に始められる運動はウォーキングです。
いきなり運動といわれても、なかなか腰があがりにくいものですが、
とくに準備もいらず、自分のペースでできるウォーキングは、
再発予防に適した有酸素運動なのです。
有酸素運動とは、酸素を十分に取り入れながら
体の筋肉を持続的に動かし、酸素を消費するための心臓の動きが
上がって、心臓の機能が強化されます。
軽いエアロビクスやダンズ、サイクリングも有酸素運動で、狭心症や
心筋梗塞にかかった人に向いています。
私はスポーツクラブに平日の日中通っていて、3分の2は高齢者が通っている
ことに最初はとても驚きました。
観察しながら会話を聞いていると、
大きな手術をしたから、コレステロール値が高いから、
血糖値が高いから、太り過ぎだから、
予備軍に入ったから、など
医師に運動をしなさいと言われて、実践している人が
多く見受けられました。
他には、病気になる前に健康を維持したいから、
定年退職して暇になって趣味としてやっている、
友達が欲しいから、
若く美しくいたいから、カッコよいスタイルを作りたいから などなど
いずれにしても、目的意識の高い人たちが集まっているところです。
初心者向けエアロビクス、初心者向けダンス、ヨガ、ウォーキングマシンに
高齢者の参加率が9割を超えていますよ。
(私は41才ですが負けていられない気持にさせられます)
ほかには、水中アクアビクスや水中ウォーキングがあります。
浮力のある水中で行うため負担が軽く、効果の高い有酸素運動で、
運動をしている高齢者は結構います。
ですが、狭心症や心筋梗塞のリスクがある人は水温が低いと
それだけで血圧が上がって発作がおきないともいえないため、
前もってウォーキングマシンやストレッチ、スタジオプログラムで
少し体温を上げてから入るか、もしくは温水プールの中でも温かいジャグジー
があるスポーツクラブなら、そこで先に体を温めてから、
十分に安全性を確かめて水中ウォーキングや水中アクアビクス、
可能なら軽い水泳を楽しむとよいでしょう。
スポーツクラブの温水プールでは、ウォーキングコースに高齢者が多く
水中アクアビクス(エアロビクスの水中版のような感じ)も8割は高齢者です。
してはいけない運動は何?
一方、短距離走や瞬発的に筋肉を使う、筋力トレーニングは
酸素消費のない無酸素運動や、有酸素運動の中でも激しいエアロビクスや
ダンスなどは、運動の強度が高く、心臓に負担がかかりすぎるので
おススメできません。
つまり、筋肉トレーニングマシンや中級者・上級者エアロビクス、
中級者・上級者ダンズプログラムはやめておいたほうがいいということです。
ゴルフも、カートを使わないのであれば、良いウォーキングになりますが、
ボールを打つときに緊張したり、人と競ったり、スコアを気にしたりすると
思った以上にストレスがかかるため、避けた方が無難です。
また、テニスも有酸素運動ですが、ゴルフと同様です。
ムリをせずに毎日運動するのが理想
運動のペースは毎日少しずつが理想で、持続的な運動を週3〜4回30分以上、
可能なら毎日30分程度すればよいでしょう。
また早朝や深夜は、冠動脈が日中より収縮していることが多いので避けます。
起床後すぐではなく、1時間後以降からがよいでしょう。
ですが、忙しかったり体調に不安があったりするときなどは、
ムリして体を動かすことはありません。
1回30以上を週に3〜4回が望ましいとされていますが、
まとまった時間がとれない場合は、数分ずつの運動の積み重ねでも
効果があるということがわかっているので、歩く数を増やしてください。
突然動き始めたり、急にやめたりするのは、心臓にストレスがかかるので
ウォーミングアップとクールダウンを念入りに行い、危険を避けましょう。
運動の強度を把握する
有酸素運動の適切な運動強度は運動負荷試験の結果から
判断します。
目標は最大酸素摂取量の50〜70%とされ、これは
最大脈拍数の40〜60%に相当します。
個人差はありますが、しばらく運動したあとの脈拍数が100〜120%
分になるよう調整するとよいでしょう。
30〜60分間運動を続けて、軽く息がはずむ、軽く汗ばむ程度が
その人にとって、適度な運動量の目安になります。
息切れがするようなら、少し強度が高いということなので、
ペースダウンをしたり休憩をとったりして、息切れが回復するのを
待ちます。
この強度の運度は、血圧や血糖値、体重などのコントロールにも
役立ちます。
また、運動中はペットボトルや水筒などを常備し、水や麦茶を
こまめに口に含んで水分補給をしましょう。
熱中症にも注意です。
一度にゴクゴク飲んだ水分は、腸が吸収にまにあわず、
速くに尿として排出されることが多くなるため、
こまめに飲むと良いといわれている理由です。
水の温度でいえば、冷たすぎると内臓が冷えるので、
体には冷えすぎていない水温が理想です。
真夏は、汗をかく暑い日、汗をかきにくい湿度が高い曇りの日などでも
熱がこもらない衣類で、体を動かすようにしましょう。
スポーツクラブの選び方
私が行くスポーツクラブには、プールに温かいジャグジー
お風呂とサウナ付きです。
運動後は、体温が急激に冷えてくるので、
すぐにお風呂に入ったほうがよいです。
なのでスポーツクラブを選ぶときは、お風呂付は必須です。
どこのスポーツクラブが施設が充実しているのか、しっかり検討するには
3〜5店舗くらいをそれぞれ1日体験して比較してみるのがいいです。
プールにジャグジーがなかったり、お風呂やサウナがなく、シャワーしかない
室内が寒い、というところもあります。
スポーツクラブの規模が小さいと、ものたりないですし、大きすぎると、
スタジオから更衣室やプールなどそれぞれの場所までの移動で
結構歩く造りだったりすると、それはそれで不便さを感じます。
経験からして、小さすぎず、大きすぎずの広さがあり、
温水ジャグジー、お風呂、サウナ付で、マシンも充実し、
スタッフの対応もよく、空調管理ができていて、掃除も行き届いている
というスポーツクラブがいこごち良いです。
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